日々パソコン作業に追われていると、背中と腰のコリがひどくなり痛みで苦しんだ経験はありませんか。毎日を生き生きと楽しく過ごすためには、身体のメンテナンスは必要不可欠と言えます。食べ物に気をつける、運動を欠かさないというのも大切ですが、鍼灸治療を受けてみるのも一つの手です。
というわけで先日鍼灸治療に行ってきたので、体験談を記事にまとめてみました。
そもそも鍼灸とは?
鍼灸は一般に「しんきゅう」あるいは「はり・きゅう」と呼ばれます。
東洋医学では、人の身体はひとつの小宇宙であり、そのバランスが崩れたときに「病」が発生すると考えられています。鍼灸も、この東洋医学の治療法のひとつです。
個々人の症状や疾患に適した経穴(ツボ)に、金属の細い針を刺入したり、あるいはもぐさを置いて燃焼させるなどの方法で生体に刺激を加えることで、元来身体にそなわっている自然治癒力を高めます。
鍼灸のすごさ 身体全体に効果がある!
何といっても鍼灸のすばらしさは、局所的な疾患、痛みだけではなく、身体全体に効果があることだと言えます。
私たちは身体に不調を感じれば病院へ行きますが、現代医学、つまり西洋医学のお医者さんでは、症状の原因となっている病因ひとつを局所的に排除するための診断や治療しかしてくれません。
もちろんそういった治療が適している疾患、症状もたくさんあります。たとえばウイルス性の風邪、抗生物質しか効かない炎症、その他 急性の病気などが主に該当します。
しかし、運動不足かつストレス過多の現代人の多くが悩まされている生活習慣病、慢性症状においては、明確な病因・原因が特定しづらいため、西洋医学の考え方、治療のみではなかなか症状が改善されていかない場合も多いのです。
だいたい「ストレスが原因でしょうねえ~」なんて言われても、「それはそうでしょうねえ!」としか言いようがないのもまた事実。
上記した通り、人の身体というのは一つの小宇宙とさえ言われるほど奥が深いものなのです。五臓六腑の活動はすべて、個々に独立しておこなわれているものではありません。
端的に言えば、胃腸が荒れていれば当然肌は荒れますし、頭の回転も鈍くなってしまいます。よく言われる通り、腸はまさしく「第二の脳」なのです。実際、脳と腸は自律神経でしっかりとつながっていますし、その脳腸相関は、いまや科学的に証明されています。
鍼灸治療を実際に受けてみた感想
鍼灸治療を初めて受けたときに何よりおどろいたのは、すさまじい即効性があったことです。
当時の私は慢性的な自律神経症状、不眠や頭痛、倦怠感などに悩まされており、いつも背中に何か見えない荷物を背負っている感じがあって全身がずっしり重いのが常でした。
そのため、問診の際はひとまず不眠、頭痛、肩こり、吐き気などの症状を伝え、それに応じた箇所の経穴に鍼治療をしてもらいました。具体的な箇所は、目の周りやこめかみ、首すじ、頭、あとは背中に数か所。
ちなみに顔に打つ鍼は、美顔鍼、美容鍼といって、健康のみならず美容目的でおこなう人も近年は増えてきているようです。私は美容目的というわけではなかったのですが、結果的にはほとんど同じ施術をしてもらいました。施術後数日は肌がツヤツヤになったのは嬉しい効果でしたね。
効果について。即効性◎
私の場合は施術を受けて、顔や体から鍼を抜いてもらってからすぐに、ほわほわと全身が温かくなるのがはっきりと分かりました。
この感覚は例えるなら休日の朝遅くまでたっぷりと眠って、その後満足して起きた時の感覚に少しばかり似ています。身体全体が程よく温まっていて、頭がぼうっとして眠気がある感覚ですね。
あとは少し歩いてからすぐに、目の周辺や肩、背中に溜まっていた重みが明らかに軽くなっていることが分かりました。施術を受けた直後にたしかな効果が感じられるのは驚きましたし、やはり嬉しかったですね。
好転反応について
こうした施術を受けたあとに一時的に眠気がつづいたり、体調ががくんと悪くなったりすることを好転反応といいます。また調整反応と呼ぶ場合もあります。せっかく治療を受けたばかりなのになぜだろうと不安になる方もいるようですが、この症状については心配はいりません。
慢性症状は、明確な病名や治療法がある急性の病気とは違います。しばらく悪い状態が続いていたのであれば、身体はすっかりその状態に慣れてしまっているはず。
元通りの健康な状態を取り戻すまでには、ある程度の時間と複数の回復過程を、地道に乗り越えていくことが必要なのです。
保険の効く症状が限られている
このように鍼灸はすぐれた治療法なのですが、唯一の泣きどころは健康保険の効く症状が限られていることです。
※ 保険診療には医師の同意診断書が必要です!
施術料金は治療院によってさまざまですが、以前私が通っていたところは一度の施術で5000円+税でした。
これを高いとみるか安いとみるかは各々の症状、あるいは担当の鍼灸師さんの腕による部分が大きいと思いますので、その都度自分で判断していくことが大切と言えます。
刺さない鍼もあるので安心
鍼灸に興味はあるけど身体に鍼を刺すなんてやっぱり怖い…注射でも嫌なのに!という方にはこちらがおすすめ。
刺さない鍼というものもあります!!
正式には鍉鍼(ていしん)とよばれる太い鍼。接触鍼とも呼ばれます。鍼の先端が丸くなっているため刺さりません。
身体に刺入することなく、軽く突いたり、押したり擦ったりなど優しい刺激で治癒をうながします。主に小児用の鍼治療として大きく発展しました。
これは私自身も以前、一度受けてみたことがあります。
感想としては、ただただ、気持ちよかったです。刺す鍼の場合は、刺す瞬間にどうしてもチクッとしたかすかな痛みがあるので、特に顔周辺に刺されるときは緊張するのですが、刺さない鍼には当然ながらまったく痛みなどないので、完璧にリラックスして施術を受けることができました。
刺す鍼ちょっと怖い…という方はまずこちらを試してみることをおすすめします。
※「刺さない鍼」の治療をやっている治療院であるか否か、必ず事前に確認してください。また「刺さない鍼」は、日本では特に関西のほうで盛んだという情報もあります。
大事なのは生活習慣
ここまですぐれた治療法である鍼治療についてお話してきましたが、やはり健康を保つためにいちばん大切なのは毎日の生活習慣です。
どれほどすばらしい施術を受けようと、いったん健康を取り戻したからと不摂生ばかりしていては、すっかり元の木阿弥ですからね。
私自身も何度か鍼治療を受けて、あ、すごい身体軽くなったな!やったー!と、好き勝手な生活をしていたところ、自律神経症状があっという間に戻ってきてしまった苦い経験があります…
鍼灸治療の効果には、持続性はあります。しかし効果をより長持ちさせたいと思うならば、やはり「健康でありたい!」という強い意志、自己管理能力も必要となってくるので注意しましょう。
鍼灸治療を受けてみよう
鍼灸はとてもすぐれた治療法です。鍼灸治療を受けて良い状態が得られれば、必ずその状態を維持したいという思いもわいてくるので、より有意義な日常を送ることができるようになるのです。
現在は安い価格設定で手軽に受けられる鍼灸治療も増えているので、気になる方はぜひ一度試してみてくださいね。