『地獄タクシー』…すごい曲です!!ぜひとも流行ってほしい。
このところ、シンガーソングライター吉澤嘉代子さんの『地獄タクシー』という曲ばかりをエンドレスで聴いています。
歌詞がすごい、世界観がすごい…なんて、好きな音楽を讃えるのにはあまりにもありふれた表現しかできない自分が悔しい。
でも言いたい。
歌詞が、すごい!
世界観、すごい!
吉澤嘉代子さんってどんな人?
1990年埼玉県生まれのシンガーソングライター。
メジャーデビューは2014年。
彼女は小学5年~中学まで不登校だったそうで、その間、日中は子どものいない時間に図書館に入り浸り、読書三昧だったということです。
父親の影響で井上陽水を聴いて育ち、16歳から作詞作曲を始めたそう。(Wikipediaより)
そのためでしょうか…
吉澤嘉代子さんの楽曲はすべて、「ひとつの物語、世界観」を持っています。
インタビュー記事などによると、彼女は曲をつくる際、それぞれの曲に「主人公」を設定し、
まるでお話を書くときのように、ノートに主人公がどのような人物か、どんな性格か、どんな世界観か、そういった細かな設定を作っているのだとか。
一曲、一曲を聴き終えるたびに、あたかもひとつの掌編を読み終えたような気分にされてくれます。
小説好きな人、また、ドラマや映画、アニメなど、独特の世界観にひたることが好きな人には、ぜひともおすすめしたい曲ばかりです!
「地獄タクシー」は、どんな曲?
どんな曲…というよりは、どんなお話かという表現が適している気がしますね。
ここはひとつ、「お話」としてご紹介しましょう。
おだやかな昼下がり、タクシーに乗って空港に向かう女性。
「レースの手袋ににじむ赤黒い染み」を隠している。
もうじき自由になれる…
窓の外を見つめたそがれる女性に、運転手が声をかける。
「お客さん、貴女もう、地獄におちてますよ」
巷を騒がせている、失踪した女の事件。
女は「亭主の首を持って逃げた」という。
物騒な世の中だ…
タクシーに乗りこむ男。
男の姿は、なぜかバックミラーに映らない。
運転手が、声をかける。
「貴方、もう地獄におちてますよ」
妻も、夫も、「地獄におちて」いる。
かれらを運ぶ、「地獄タクシー」。
うーん、個人的にはもっともっと流行ってほしい歌ナンバーワンなのだけど、
この曲が流行る日本はちょっとやばい気もしますね。笑
吉澤嘉代子さんの可愛らしい容姿、そして見た目に似合わぬどすの効いた声、「歌う」…というよりは「演じる」という表現がぴったりの歌い方、全要素が相まって、
この曲の真髄「地獄なんて日常のなかに当たり前にあるんだよ~、そんな遠い世界じゃないんだからね!」みたいなところをダイレクトに、かつキュートに伝えてくれていて、聴くたびに毎度毎度背筋がゾクゾクします。
「地獄もの」に惹かれるのはなぜだろう
思えば「地獄もの」の作品というのは、音楽のみならず、映画マンガドラマアニメ…あらゆるジャンルのエンタメにおいて、いつの世も「流行り」の一端を担っている気がしています。
たとえば、園子温監督脚本の映画「地獄でなぜ悪い」然り、アニメ化、映画化までされている人気漫画「地獄少女」然り、少年ジャンプコミック「地獄楽」然り…
いやいや、なにもタイトルに「地獄」が入ってなくても、いいのです。
とにかく、「地獄」をおもわせるような暗黒の恐怖の世界… 地獄絵図という言葉がありますが、まさにそんなところにずるずる引きずり込まれていくような作品に、たいていのは皆、生涯に一度はどっぷりと浸かってしまう傾向があるのではないだろうか…と思うのですよね。
でも実際には、みんな自分の生活があって、地獄じゃない世界があって守りたいものがあって、本当に「堕ちて」しまうわけにはいかない。
だから「地獄作品」で、「疑似墜落」(?)を堪能して、地の底の底の気持ちを存分に味わい尽くして、「あ~自分もいい感じに”堕ちた”な~」とたのしく自画自賛して、それでまた、「地獄じゃない世界」を、それぞれ謳歌していくのだと思う。
そういうもんじゃないでしょうか…
『地獄タクシー』、皆さまもぜひ、聴いてみてくださいね♪
それでは、今日はこのへんで。