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ドラマ『高校教師』劇中で使用された森田童子の楽曲6選と印象的なシーンまとめ

シンガーソングライター森田童子さんをご存じでしょうか。

常にウイッグとサングラスで顔を隠し、メディアへの露出もほとんどなかったというミステリアスな印象をもつ彼女ですが、世間から注目されるきっかけとしてはやはり、ドラマ『高校教師』の主題歌『ぼくたちの失敗』のインパクトが強かったことが挙げられます。


ドラマ『高校教師』(1993年ver)劇中では、実は『ぼくたちの失敗』のほかにも多くの森田童子の楽曲が使用されています。


今回は、劇中にて使用されている楽曲を印象的なシーンと合わせてまとめています。

※ネタバレ要素が多いのでご注意を。

 

 

 

 

 

『高校教師』劇中にて使用されている森田童子の楽曲

劇中にて使用されているのは、主に以下の6曲です。


・ぼくたちの失敗
・男のくせに泣いてくれた
・G線上にひとり
・ぼくが君の思い出になってあげよう
・君と淋しい風になる
・君は変わっちゃったネ


上記はすべて『森田童子ベストコレクション』収録。

 

ぼくたちの失敗(オープニング・エンディング)

これは今さら紹介するまでもありませんね。彼女最大のヒット曲。劇中では主にオープニングとエンディングにて流れることが多い。

歌詞、メロディーラインともに深い哀愁や郷愁を感じられる静かな曲で、そのくせちょっと軽快な雰囲気も感じられるのが人気の理由ではないかと思う。

決してただの暗い静かな曲ではないんですよね。この歌が本当の意味で響くのはやはり日本人、あるいは日本で生活した経験のある人に限るのではないかと個人的には思っています。


歌詞について「ぼく」は羽村先生、そして「君」は繭をあらわしているという解釈が一番しっくりくると思っていましたが、よく考えるとこの歌詞は、劇中に登場するどの男女に当てはめてもわりと意味が通じる部分があるのかもしれない。


ストーリー展開を辿っていくと、やはり男性側が女性側に「甘えている」という関係性がやたら多い気がするんですよね。

メインカップ羽村と繭はその典型で、では繭は羽村に何を求めているのか…というのがまさしく今作の面白いところと言えるのではないでしょうか。

 

男のくせに泣いてくれた(第4話『僕のために泣いてくれた』、羽村の涙)

劇中にて、『ぼくたちの失敗』の次に多く使用されているこの曲ですが、一番印象的だったのはやはり第4話、羽村先生が繭の前で涙をみせるシーンでのBGM挿入でした。


成人男性が人前で涙をみせる…という通常ならなかなかないシチュエーションですが、この曲がバックで流れていることにより非常に説得力が増していて、今風に言えば”エモい”仕上がりになっているように思います。


加えて、このシーンをきっかけに羽村の繭に対する気持ちがどんどん変化していくストーリー展開になっているのもいいですよね。

 

それまではあくまで一人の教師としての姿勢を崩したがらなかった羽村ですが、このシーンをきっかけに繭に「対等」に接してくれるようになったように思います。まあそれが世間的にはどうなのか…というのも大きなポイントではあるわけですが。

 

 

G線上にひとり(第5話『衝撃の一夜』エンディング)

第5話エンディングで流れるのがこの曲。羽村と繭が初めて一夜をともにし、そしていざ学校に戻る…というシーンです。


森田童子の歌は全般的に人の持つ「孤独」や「寂しさ」をとことん突き詰めたような歌詞や歌い方が目立ちますが、個人的にはこの曲がその最骨頂ではないかと思っています。

一見耳にやさしい歌詞が静かなメロディーとともに続き、ラストに唐突に「いま ぼくは しにたいと思う」という歌詞が出てくる。


ラストの歌詞により、その曲のもつ意味が一気にひっくり返る…といえば個人的に思い浮かぶのは中島 美嘉の『 僕が死のうと思ったのは』ですね。この曲は最後の歌詞があることで、曲全体の印象が一気に前向きなものへと変わります。


しかし『G線上にひとり』はその逆。この歌を二人の距離が一気に近づいたあの展開にてあえて流すセンスが、個人的にはとても好きなのです。

 

ぼくがきみの思い出になってあげよう(第7話『狂った果実』エンディング)

この曲が流れるのは第7話のエンディング。繭が慕っていた亜弓という女性が自死し、警察で取り調べを受けていた繭を羽村が迎えに行くシーンです。


「死にたくない」という繭を羽村が抱きしめるシーンでこの曲が流れる意図はやはり、羽村の繭に対する深い愛情をあらわしていると言えるのではないでしょうか。


「もう若くはないぼくは 君の思い出になってあげよう」。

もしかしたら、羽村が繭の抱える孤独に無意識に気づいたのはこのシーンだったのかもしれません。

 

 

君と淋しい風になる(第8話『隠された絆』エンディング)

この曲が流れるのは第8話のエンディング。繭とその父親との歪んだ関係性を羽村が初めて知るシーンです。


繭が抱えていた闇の正体が初めて明確な形となって視聴者側に提示される衝撃的なシーンですが、そのシーンであえて”淡々とした”雰囲気のあるこの曲をもってくるのはやっぱりすごいなと思う。

父親のベッドに横たわる繭を目にした、あの一瞬で羽村の心がすっと冷えて思考が停止したことをうまく表現しているように感じるのです。

 

 

 

君は変わっちゃったネ(第9話『禁断の愛を超えて』オープニング)

この曲が流れるのは第9話のオープニング。ここまでは多くの場合、オープニングで流れるのは『ぼくたちの失敗』だったところを、第9話ではこの曲で始まるのが不穏な雰囲気のある”イレギュラー感”をかもしだしていて、それが何とも言えず良い。


主人公である羽村が、第8話ラストのショックをそのまま引きずっている内心をうまくあらわしているような気がします。

「君は変わっちゃったネ」。これはまさしく、羽村の理想像とかけ離れていた繭の姿を暗示しているのでしょうか。

 

本当のあたしを知っても、嫌いにならないでね」。まさにそのときが訪れたわけですが、羽村のほうもすんなり繭を受け入れたわけではなく、ひたすら内心の葛藤と闘いつづける…というのがこの回。

ここはドラマらしいご都合主義じゃなく、リアルな男心を描いている感じがして結構好きだったりしますね。

 

 

2023年現在購入が可能な森田童子楽曲作品

 

 

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