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ドラマ『高校教師』第3話「同性愛」ネタバレ感想と考察 赤井英和演じる新庄先生の存在の大きさ


今回は、ドラマ『高校教師』(真田広之さんと桜井幸子さんver)の第3話「同性愛」に関する個人の所感を書いています。

あらすじの詳細な文章化等はほとんどしていませんが、ネタバレ要素はありますのでご注意を。

 

第3話「同性愛」感想 新庄先生の存在の大きさ

ドラマ『高校教師』の第3話「同性愛」をみてまず抱いた感想は、この段階ですでにメインの登場人物たちが「救う側」と「救われる側」にはっきりと分けられるような形で、明確な意思のもと描かれているんじゃないかなということだった。

 

第3話を俯瞰してみたときに、個人的にもっとも印象が強かったのは、赤井英和さん演じる新庄先生の存在感の大きさだ。

第2話「嘆きの天使」に引きつづき鬼のような教師 藤村に翻弄され、「卒業まで」彼との縁を切ることは許されないと一方的に「宣言」された直子を救ったのは、間違いなく新庄の優しさだった。

 

もっともこの段階では、新庄にはまだ直子の問題の真髄は何ひとつ伝わってはいないのはたしかなのだけども。

しかし、体育館で「食べるか」とカップ麺を差し出した新庄のあのひと言がなければ、直子はあのまま闇にずるずるのみこまれてしまっていたんじゃないかと私には思えてならない。


直子が受けた傷は深いが、それは単に憧れの教師に強姦されたという理由以上に、もっと抽象的な、端的に言えばひとりの人間の二面性や恐ろしさというものに対する衝撃も大きかったんじゃないかと個人的には思う。


前話におけるあの事件がおきるまで、直子の目に映る藤村の姿はまるでヒーローさながらに、いつだってきらきら輝いていたはずだ。

それはまあ藤村ファンの生徒のなかには、単に「人気者」の先生だからというフィルターがあってこそ彼が好きというケースも多かったんだろうし、若干ミーハーな気質がある直子にも、少しくらいはそういうところはあったのかもしれない。


食べてもらえるかもわからない弁当をわざわざ作ってうきうきで渡すという行為ひとつ見ても、また1話~2話における直子の表情や言動をみても、彼女にはとにかく恋愛に憧れる少女みたいな無邪気さが垣間見える。

少なくとも、教師である羽村の留守宅に押しかけて、どしゃぶりの雨の中ひたすら彼の帰りを待ち続けた繭のようなひっ迫した入れ込み方は、直子には感じられない。

 

つまり第2話までは一貫して「普通の可愛らしい少女」というだけだった直子が、第3話にてあらためて藤村と対峙して、おそらくは人生で初めて「どうにもならない」ということを知ったのだ。


あとあとわかってくることだけども、この「どうにもならない」という無力感は、直子の親友である繭が、長いこと一人きりで味わいつづけてきたものの正体ではないかと思う。

自分の力ではもうどうにもできないけど、でもあの人ならきっと何とかしてくれるんじゃないか…と他人に対して淡い期待を抱いてしまう経験は、おそらくは人生の中で誰にも一度はあることだろう。


このドラマ『高校教師』において、繭にとってその相手は一貫して羽村だった。そして直子にとってのその相手は、おそらくは新庄だったのではないだろうか。もっとも3話のこの時点においては、繭はともかく直子にはそこまでの自覚はなかったのかもしれないけれども。


助けてほしいと口では言えないからこそ、羽村の靴箱にひそかにメモ用紙を入れ続けた繭。

助けて欲しいけどどうしても直接言えないからと、人知れずSOSを送りつづける彼女のこの姿勢こそが、実はドラマ『高校教師』の大きなテーマの一つと言えるんじゃないかと個人的には思うのです。

 

3話タイトル「同性愛」なのに、あまり関係ない部分の感想ばかり書いてしまいましたが、まあこういうマイペースな感じで、次話以降も引き続き個人的な所感をつらつら書いていければと思います。

 

 

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