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「ブロマンス」ってどんなジャンル?「男の友情」に萌える理由とは

今回は「ブロマンス」というジャンルについて語ります。

 

そもそもブロマンスとは?

ラブロマンス” ではありません。”ブロマンス”です。
この言葉の意味を、あなたはご存じでしょうか…?

もしご存じないなら、説明が少々むずかしかったりします。


Wikipediaの定義では、

ブロマンス( 英語 Bromance):   2人もしくはそれ以上の人数の男性同士の近しい関係のこと。 性的な関わりはないものの、ホモソーシャルな親密さの一種とされる。(wikipedia引用)

となっています。

また、goo国語辞書では、

《brother(兄弟)とromance(恋愛)からの造語》 男性どうしのきわめて親密な関係。友情より濃厚だが、同性愛関係ではないとされる。スポーツなど共通の趣味に興じ、頻繁に行動を共にする。(goo国語辞書引用)

 

あーあーあー、あれね! いわゆるボーイズラブとかいうやつね!
すぐにこう、早合点する人がいます。

違う違う、そうじゃない!(鈴木雅之?)

定義をよくご覧ください。
「性的な関わりはない」「同性愛関係ではない」。

そう、「ブロマンス」とはあくまで”男同士の精神的な親しさ”を意味する言葉なのです。


もちろん「ボーイズラブ」というジャンル自体も、それを楽しむ人たちのことも、
否定する意図は毛頭ありませんが、
ボーイズラブ」の魅力と「ブロマンス」の魅力は、多少の類似点はあれど決してイコールではないと私は思っているので、そこはきちんと線引きしておきたいと思います。

 

ブロマンスにハマったきっかけ ~ホームズとワトソン~

思い起こせば、私が「ブロマンス」というものの魅力に目覚めたのははるか昔、小学生のころでした。

小学校の図書室に全巻ずらりと揃っていた「シャーロックホームズシリーズ」にがっつりハマってしまったんですよね。
とにかく面白くて面白くて、全空き時間を使ってむさぼるように読みふけっていました。笑

 

ちなみにシャーロックホームズシリーズは本格ミステリーなので、当然ながらかなりの高頻度で人がばんばん殺されます。
当時、同級生に、そんなものに熱中している子はひとりもいませんでしたが…

でも私は、正確に言えば、作中で起きる殺人事件そのものに熱中していたわけではなかった気がします。
もちろん事件のあらましも、その謎解きも面白く読んでいましたが、それ以上に着目しているものがありました。

それは、ひと言でいうならば、『ホームズとワトソンの関係性』です。

 

いついかなるときでも極めて冷静沈着で、面白い事件に関することでなければ他人に毛ほどの興味も示さず、人付き合いというものを一切しないホームズ。
そんな彼が唯一、相棒のワトソン医師にだけは、独特の執着を示している。


ひとつ例を挙げると、ホームズは、ワトソンの結婚を、「彼がした唯一の自分本位の行動」と批判しています。直後、「わたしはひとりぼっちになったのだ…」とも。

別にワトソンが結婚したからといって、ふたりの関係がそこでおしまいになるというわけではないんですよね。
ただ、同居生活が終わり、ふたりで過ごす時間が格段に減るというだけのことなのに。

どうです、これ、なんともきゅんときませんか!

私は、事件そのものよりも、ホームズとワトソンが事件についてふたりで語り合っているような場面や、互いの存在についてのモノローグ、そういう部分がたまらなく好きでした。


ワトソンが大怪我をして、冷血漢ホームズが唯一といっていいほど取り乱すシーンとか、死んだと思われていたホームズがふいに眼前にあらわれて失神するワトソンとか、そういう描写が大好物で、無意識ににやつきながら読んでましたね。(笑)


ちなみに、図書室にあったのはたしかこれでした!
挿絵や訳が子どもだましじゃなくてちゃんとしていたのが嬉しい。

 

あとから知ったことですが、原作が発表された19世紀末から、独身男性が一緒に暮らしているという設定に、ふたりが同性愛の関係にあるのではないかと、すでに一部ファンのあいだでささやかれていたそうです。

しかし、この声を、原作者アーサーコナンドイルはきっぱり否定したと言われています。(諸説ありますが)

 

itono-tono.hatenablog.com

 

 

ブロマンス作品あれこれ

当然ながら当時のまだおさない私は、ブロマンスという言葉じたいを知りません。
だから、「あっ、あのときの私はすでに”ブロマンスに目覚めていた”のか!」と自覚したのは、ついここ数年のことです。

 

シャーロックホームズシリーズ以外にも、個人的にブロマンスを感じる作品はいくつもあります。(原作者にそういった意図はないかもしれませんが…)

 

「怪盗クイーンシリーズ」はやみねかおる

たとえば児童書だと、青い鳥文庫『怪盗クイーンシリーズ』。
今年度6月に、アニメ映画化されることでも話題ですね。

当シリーズの「クイーンとジョーカーの関係性」。

クイーンは、無敵の怪盗。
年齢も、性別すらも不明の、ものすごく謎めいた人物です。

どんな高価な宝石でも美術品でも、「怪盗の美学」にかなう品でなければ、何らの興味も示さない。
そのクイーンが唯一、執着しているのが、相棒のジョーカーの存在です。
ジョーカーは子どもの頃、雪の日に街角の道端でひとり凍死しかけていたところを、通りがかったクイーンにひろわれ、育てられました。

 

ふたりのあいだにたゆたう、独特の強い信頼感。
これは上述した「ホームズとワトソンの関係性」に、非常によく似ていると思うのです。

まあ、クイーンが男性であるかどうかは議論を避けておくとして、とりあえず、クイーンの口調も、ジョーカーに対する態度も男性のそれなので、私はこの作品をれっきとしたブロマンスとみなしています。

 

児童書カテゴリーだからといって、子どもだけに向けたものだとは限りません。
はやみねかおるさんの作品は、大人になった今でも、たびたび読んでいます。

なにげなく読んでいると、どきっとさせられることがたびたびある。
やっぱり、子どもに面白いものは、おとなにとっても面白いものです。

まほろ駅シリーズ」三浦しおん著

あと、何と言っても、ブロマンスを語る上でこの作品は外せません!

まほろ駅前多田便利軒』(三浦しおん著)。
第135回直木三十五賞受賞作品ですね。

映画化、ドラマ化もされている大人気作です。

主要人物「多田」と「行天」の関係性がたまらない。

 
 
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結局ブロマンスの何がいいのか

今回この記事を書くにあたって、結局ブロマンスのいったい何がそんなに魅力的なのだろうか…とあらためて考えてみました。

たとえば私は少女漫画も好きなのですが、少女漫画の男女の恋愛模様をたのしむ感覚と、ブロマンスをたのしむ感覚は、私の中ではまるで別物です。

単に私が女だから、いわゆる「男同士の友情」というものに対するあこがれとか幻想とか、そういうものなのかもしれないとも思いますが…
現に、「女の友情」を描いた作品には、私はさほどの興味を持てないわけで。

うーん…でも、たとえば熱血系少年漫画にも「男の友情」たる概念はあふれているけれど、ああいうジャンルにも食指が動かないんだよなあ…

うーん…

あれこれ考え合わせると、ブロマンスにおいて最も重要なのはきっと、ツンデレ』的要素なんじゃないかと思います。
(※あくまで私個人の意見です)


スポーツ系少年漫画にありがちな、わかりやすいアツい友情、信頼とは違うんですよね。

普段はあくまで冷めた感じの態度。「別にお前になんか興味ねえよ」みたいなスタンス。でも、いざとなったら、相手の存在を無視はできない。相手に対する執着を、なかったことにはできない。

 

この広い世の中、日の目をみないブロマンス作品は、まだまだたくさんあるはず。

今後もあらゆるブロマンスを発掘していきたいと願う今日この頃。

 

 

個人的には、テニプリもブロマンス。

itono-tono.hatenablog.com

 

 

それでは、今日はこのへんで。