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津田雅美「彼氏彼女の事情」ネタバレ感想と考察 浅葉に関する個人的見解

漫画「彼氏彼女の事情」には老若男女問わずさまざまな個性あふれるキャラクターが登場しますが、個人的に一番気になるキャラクターは浅葉くんだったりします。

というわけで今回は浅葉くんについて、個人的見解を語ります。

 

 

 

 

 

 

 

浅葉を一番理解していたのは誰なのか

カレカノ全編通して私が最も気になったのは、あの膨大な登場人物のうち、誰か一人でも浅葉という人物を正しく理解していたと言えるのだろうか、ということです。

精神的に一番近かったのは間違いなく有馬で、でも彼は、結果的には浅葉と同じ場所に留まることはしなかった。なぜなら雪野に「救われ」たから、もう暗い場所に棲み続ける必要がなくなってしまったからです。

 

その結果「浅葉が一人になってしまった」ことについて、有馬を救い出した雪野本人が作中にて以下のように言及しています。

…浅葉が一人になっちゃった。私きっと浅葉の役には立てないよ。

うん、それはその通り。でもこの時点では浅葉本人さえも「誰かに救われたい」などとは願っていません。

 

カレカノ最終巻に登場するモブ女子生徒の存在

誰にも救いを求めていない。他人との距離が近いようで、実際は誰にも心を許してなどいない。どの女性のことも「平等に」扱うことで、ある意味自己を保っていた。

そんな浅葉が唯一「頼った」のは、最終巻にて唐突に登場したモブキャラ女子(名前さえ出ていない)の存在ですね。他人と群れない孤高の存在である彼女はある意味では誰よりも浅葉に近く、おそらくはそれゆえに、誰よりも的確に浅葉の本質を見抜いていました。

ーー浅葉くんは寂しさゆえに心から女を必要としてくれる。

 

カレカノ作中にて、この点を本当の意味で見抜けていたのは、あるいは彼女だけだったのかもしれない。浅葉を相手に「恋愛」はしようとせず、あくまで「良き理解者」として静かな付き合いを続けていた彼女のキャラクターが個人的にはとても好きです。

 

作中では名前もなく、顔さえもはっきりと描かれていませんが、そういう演出も込みでとても津田先生らしい描き方だなあと思いますし、おそらくあとわずかでも彼女の存在が強く出過ぎていたら最終巻の印象も大きく変わってしまったのではないでしょうか。


何にしてもきっと彼女が自分で思っている以上に、浅葉はあの静かな付き合いに救われていたんじゃないかと思います。個人的に、彼女には幸せになって欲しい。心から。

 

芸術家浅葉の顔を知っていたりかちゃん

隠れキーパーソン(?)であるりかちゃんは、ほんわか優しいようでいて実は作中の誰より強いんじゃないかと思っているのはおそらく私だけではないはず。
なにしろあやのお兄さんの件で、殺人園児になりかけた前科がありますからね。笑


そんな彼女は、浅葉と同じく芸術の世界をこよなく愛する人間です。そして浅葉が絵の世界にどっぷり入り込んでいる瞬間を、おそらくはカレカノメンバーの誰よりも目撃しているはず。

 

何巻だったか、りかちゃん視点で描かれたスピンオフがありましたが、個人的にあの話は、実はほかのどの話よりもカレカノメンバーの立ち位置とか関係性を客観的に分かりやすくあらわしているのではないかと思うんですよね。なぜなら語り手のりかちゃん本人が、実は誰より冷静に他人のことを見ているから。


あの話で描かれていた浅葉は、普段周囲に見せているチャラ男の顔ではなく、れっきとした一人の「アーティスト」だった。りかちゃん視点の話でそれがはっきり描かれていることが個人的にはとても嬉しい。

というわけで名のなき女子高生さんに次いで、りかちゃんもまた浅葉の良き理解者なんだろうなと私は思うのです。

 

 

 

〇有馬・雪野・一馬・つばさについて

itono-tono.hatenablog.com

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それでは今日はこのへんで。