疲れたときほど本を読みましょう

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マリー・アントワネットは「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」なんて言ってないらしいよ

真偽はわかりませんけどね…

当時を知っている人間は、今は誰ひとりいないんだから。
今の時代のことも、きっとそうやって尾ひれがついて語り継がれていくんでしょうね。

 

 

 

 

 

「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」

あまりにも有名なこの言葉は、フランス革命当時、王妃マリー・アントワネットの発言として後世にも広く知られていますね。

このセリフだけをみれば、贅沢三昧で国民の苦しみなどまるで理解できない傲慢でおろかな人物像がうかがえますが、

実のところ、マリー・アントワネットがたしかにこう言ったという確固たる証拠は、どこにも残ってないのです…

 

えっ…
じゃあなぜ、こんな不名誉なエピソードが広まってしまったんだろう?

 

 

説①「パンがないならケーキを…」のネタ元(?)

『社会契約論』で有名なフランスの思想家ルソーの自伝『告白』内に、このエピソードの元になったのではないかと思われる記述があります。

 

お洒落して、お買い物に行くルソー。
パンを買いにパン屋に向かいますが、いざ店に入ろうとして、ふとためらいます。

「こんなしけた店に入るには、俺の格好、ちょっとお洒落すぎんか…?」

(※ ↑私が勝手に考えたセリフです)

そこで、ふっと思い出す。

(そーいや、どっかの偉い王女さまが、「パンがないならケーキを…」とか言ってたとか何とかいう話があったなあ…
よーし、パンはやめて、ケーキにするか!)

パン屋にくるりと背を向け、意気揚々とケーキ屋へ向かう。

 

…このエピソードが巡り巡って、どこぞの王女の発言があたかもマリー・アントワネットの言葉であるかのように誤解されてしまった…という説がひとつ。

 

ちなみにルソーが『告白』を書いた当時、マリーはまだ幼い子供でした。
年齢的に、ルソーが回想したこの王女がマリー・アントワネットのことである…ということはありえない。


うーん…
生前のマリー・アントワネットの言動なども相まって、なんとなく彼女が言いそう!ってことで誤解が広まっちゃったんですかね。

あとものすごくどうでもいいですが、ルソーさんは結構自意識過剰なタイプなんでしょうか…(失礼)

 

説② 言葉の意味そのものが誤解されている

そもそも「パンがないならケーキを…」という言葉の意味自体が誤解されている…という話もあります。

なんでも、ここで言う「ケーキ」は、私たちが想像する生クリームたっぷりのあれではなくて、ブリオッシュという、フランスの菓子パンのことを指しているらしく…

当時のフランスでは、ブリオッシュはパンよりも安価な小麦で作られていたため、「小麦が高騰したんだから原料の安いパンで我慢しろ」みたいなニュアンスだったみたいですね。

 

お米を主食とする私たちにはあまり馴染みのない話ですけどね。

無理やり日本風に言うなら「日本米がないならタイ米を食べればいいじゃない」みたいな感じかと思われます。

 

 

 

時代を経てなお誤解が受け継がれていく

人と人との関わりとか関係性は、実はほとんどが誤解とか曲解から成り立っている、とか聞いたことがあります。

私自身もたぶん、これまでに大勢の人を誤解してきたと思うし、同じようにいろんな人から誤解されてきたんだろうなあ。。

まあ誰にどう誤解されようが、それで何か大きな支障が生じるわけでないなら別に構わないとは思いますが、マリー・アントワネットの言葉が誤解だとするなら、時代を超えてなお誤解されつづけていくっていうのはまさしく悲劇ですよね。

歴史的にみていくと、フランスという国では「民衆」「大衆」の力とか声がすごく強い気がします。

国を救った英雄なのに魔女とみなされて火あぶりにされた方(ジャンヌ・ダルク)までいらっしゃいますしね…
(ちょっと時代違うけど)
マトモな人おらんかったんかい…?と思う。



世界史は、いろいろ辿っていくとわりとやばめのエピソードも多くて面白いな~と思うんですが、そのうちのどれくらいが本当に「正しい」情報なんだろうなあ、と思うとちょっとどきっとしますね!

 

 

 

 

それでは、今日はこのへんで。